目的

このころ日本軍は勢いに乗って広がった戦線にあって将兵の中には
この拡大した占領域を有利に保持したまま戦いが終わるとは思えず、
むしろ、この広がりすぎ伸びきって物資や戦力の補給もままならぬ
戦線の先行きに多くの不安と恐怖を抱いていました。

こうした南方戦線にあって新太郎と
戦友たちは先行きに不安を抱き
地平線の彼方が気になる日々が
多くなりました。そしてそれとは別に
新太郎は思っていました。
「確かに、勢いにまかせて南方の
国を駆け抜けてきた。しかし、この戦の
意味はなんなのだろう、我が国土を
侵されたからでもなく、この国に請われ
たでもない。もし国の建前論ではなく
本当に世間でいうところの石油権益
確保をを狙ったものなのだろうか、
もしそうならわれらのどこに正義が
あるのだろうか?」疑問の答えが
見つからないままでありました。
新太郎はこうした心の迷いを「いまこうして
迷いをあらわすことはそれぞれの
戦友たちにも迷いをうつすことになる
自分だけの内に秘めておこう」と思うの
でした。そしてこの日も戦闘がはじまり
ました。しかし、これまで守護してくれて
いた氏神さまに異変があることに
新太郎は気づきました。
それは一瞬に始まり、
一瞬に終わり
ました。
そして突然と雷雨に
なりました。
そしてたたずむ
新之助の心の中は
廃墟のごとくでした。

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