さわやかなるひと時

こうして新之助は
幸太郎の家に宿を
借りることとなった。

母上、この方は山の向こうの
滝の郷からおいでの新之助どの
です。新しい友人ですのでしばらく
滞在させてください。
これはこれはようこそおいで
くださいました。むさくるしい所
ですがごゆるりとおくつろぎください。
はじめまして、新之助ともうします。
突然、ごゃつかいになります。
よろしくお願いいたします。
ハイハイ、どうぞごゆるりと滞在
してください。

食べ物はじつに質素でありましたが、こころなごむ雰囲気に暖かさ
そして心のゆたかさを感ぜぬにはいかぬほどの時間でした。
せちがさがない、それがこんなにゆったりとした時間になるのかと
新之助は感心しました。

ありゃりゃ!残念糸がきれたわ、
 うーん手ごたえは十分だったのに
 残念残念!
うん、惜しかったです。幸太郎どの

ゆったりとした時間の流れの中でつりにそして剣術の稽古にと
 汗をかく日々はさわやかなひと時として過ぎ去ってゆくのでした。

しかし、ある日の午後、お城からもどってきた面々は日ごろにない
 深刻な表情がありました。

幸太郎どのいかがいたした。
顔いろがさえませんぞ。
おお、新之助どの私の顔もゆとりが
消えてござろうな。アハハ
実はな薩長軍がわが領内に近づい
てきているそうな、その話が
ご城代からあった。
え、「新之助はハッとしました。
なぜならこの国は薩長軍にやぶれた
歴史があることを思い出したからです。」

新之助親子の里へ
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