別れの時3

新之助親子の里
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必死になって幸太郎どのの一行に追いついて愕然とした。新之助でした。

幸太郎どの、
新之助どの、
何者だ?
幸太郎どの!気をしっかり
なされよ!
新之助どの、加勢に来てくれたか
、、、、今一度会えて良かった、
ハイ、
幸太郎どの望みを捨てては
なりませんぞ!
武士道、我らにあり!大儀も
我らにあり!幸太郎どの
我らに勝利ありですぞ!
幸太郎どの!気をしっかり!
ありがとう新之助どの、、、
どうか我が刀で御身を守ってくだされ、
私はただ黙然とうなずくしかなかった。
そう、幸太郎どのはわが身が
今、尽きようとしている時、わが身
ではなく私、新之助を心配して
くれていることに彼の優しさと
人を思いやる余裕に幸太郎どのは、
この方は大道を歩んでいる。
現世を踏破した万世に通じる大道に
いるとそう感じた。
そして私、新之助の手に自らの刀を
握らせて、そして静かに息を
引き取った。まわりを見るとすでに
「蒲生の三羽ガラス」と云われた
方々はすでに息を引き取り
幸太郎どのは最後の一人でした。
なんだ貴様は?今、「武士道は
我にあり、大儀は我にあり」と
は何だ?大体、貴様は大刀も
差さず、町人か?
私は当藩の藩士、長谷山新之助
ここに倒れたる猛者は蒲生の
武士達、当藩武士の鏡であり、
我が同士である。
我らに大儀ありとは、貴殿らの
奥羽への挙兵が先の帝に忠義を
尽くした会津侯への逆恨みからの
挙兵、その先帝に対する不忠、
不義、それをを阻止せん
とする兵、つまり、我らに大儀ある。
それと、「武士道われにあり」とは
わずかな人数で太刀で堂々と名乗る
武士を獣を狩るがごとく銃でしとめる
これ、武道の正道にあらず、
ゆえに、武士道我らにある。
また、我らに勝利ありとは
こうしたことがらから貴殿らの
行動は敗軍の所業をもって
われらの勝利という、
また、こうした正義の同国人を
敵と扱う、殺す、これ御国日本の
将来を担う義人を殺したことになる。
つまり、神国日本の柱を折るもの
破壊する行為である。
つまり、貴殿らは義人たる蒲生の
三羽ガラスを殺したことでこの先に
天下を手にしてもやがて神罰を
受けるであろう。ゆえに我らの
勝利なのである。
なんと生意気な奴!
隊長、こやつを殺しましょう。
少し待て、貴公の同士を一太刀も
交えずに銃でしとめたること
確かに心ぐるしさを感じる。
どうだ、代わりと云っては何だが
見逃す故にいたずらに死に急ぐ
こともないと思うがどうだ。
断る、こうして我が同士が眠る
いま、私に残るのは勝者の生か
敗者の死の他に道はありません。
そうか、
やむなし!同じ武士として貴殿の
心は良く分かった。拙者は山田信吾
私が貴殿のお相手いたそう。
いざ!
かたじけない、
いざ!
他の者達は手出し無用!
隊長!そんな奴は負かしてやって
ください、